店舗デザインをする際に考えていること
私たちは店舗デザインをするときに様々なことを考えます。
理由としては、ただカッコいい建物を建てたいという設計者としての欲求を満たそうとするのではなく、店舗は収益があがってナンボですので、その物件物件で収益を上げるためにはどのようにしたら差的に近づくのだろうかと徹底的に検討するからです。
では、実際にどのようなことを考えていると思いますか?
一般的な考え方からすると、
・平面プラン
飲食店の場合:客席数、その配置、キッチンの配置、厨房機器の配置、トイレの数・位置など
・外観プラン
デザインする側としてかっこいいもの、何となく照明計画、駐車場がある場合は駐車場配置、エントランス位置をどうするか、庇がどの程度の大きさがよさそうか、看板設置位置など
ざっくりこのような感じです。
私たちの場合、飲食店であれば、まずどれくらいの収益を上げたいのかを事業者様に確認します。
提供する商品は既に決まっていることが多いので、客単価から席数などを決めていきます。
小さな事業主様ほど何となく席数はこれくらいがいい、というあいまいな設定が多いため、その根拠を確認します。
オペレーションなども考慮すると、新築する場合に席数を多くしすぎると業務が回らなかったり、建築面積が増えてしまい、結果として建築コストが増えてしまいます。
また、席数が少ないとどうやっても収益が上がりにくいハコができてしまい、事業を進めるにあたり来店客の回転率を上げたりと、バタバタ余分にしなくてはならなくなりますので、運営が大変になってしまいます。
スタッフ動線と客動線も徹底的に事業者様と打合せして、業務上の癖なども確認します。
厨房から客席を見たいのか、見たくないのか、厨房とホールのスタッフとのコミュニケーションをどのように取りたいのか、客動線はどのように誘導していきたいのか、などを密に打合せすることで、実際の営業が始まった時に不具合を感じないようにしたいと考えています。
店内の雰囲気、客層はどのようなところをターゲットにしていくのかも打合せします。
年齢層や、所得がどれくらいの客層なのかで、客席の大きさや通路の幅も変わります。
ゆったりとした雰囲気をつくるのか、最小面積で利益を上げるように回転率を上げるのか、若い年齢なのか高齢者なのかでも雰囲気は全く異なります。
椅子一つとっても選ぶものが異なります。
高齢者であれば、コメダ珈琲さんのように固めの椅子で背もたれも直立に近いほうが安定して座ることができて、ゆったりとできますが、ホテルのラウンジのような場所では、そのような椅子だと貧相になってしまいますし、きれいな装いの方々が社交場にするような場所では少し沈み込むくらいの幅が大きなソファのほうが価値を造りこむことができます。
看板では、立地から考えて、どこからどのような形で看板を見るのか、その看板の使命は何なのかを考えます。
歩行者、自転車、車からによって、看板の使命は変わります。
また、建物と道路との距離によっても異なります。
歩行者、自転車はゆっくりと動くため、それほど大きくなくても目に留まる看板があれば大丈夫だと考えます。
ただ、環境的に他店の看板が多いようであれば、店のコンセプトを象徴しつつどのように看板を取り付けるか、目立たせることができるかを考えます。
車から見てもらいたい看板であれば、走行中1秒ほどで視認してもらえる位置、サイズ、見せ方を考えます。
看板によっては店のイメージを良くもしてくれますし、カッコ悪くなってしまうこともありますので、トータルのバランスをみてご提案させていただきます。
まだまだ検討することは多く、上記は検討事項の半分にもなっていません。
様々な視点からお店を見て実務的なところを決めていき、最終的に見た目のデザインを決めていきます。
営業目線で設計を行う事務所は多くありません。
なぜなら設計事務所しか経験していない設計者は、そういう目線をもって設計したことがほとんどないからです。
私たちの強みは、大手ハウスメーカーで営業を経験した社長を筆頭に、いかに売り上げを上げることが大切なのかを経験している設計者がいることです。
経営×デザイン
これが店舗デザインにおいて絶対的に必要な要件だと信じて私たちはデザインに取り組みます。